叶うなら
ふと今までしてきたお仕事の中で関わったお客様や周りの人達を思い出すと胸いっぱいになって、今日が最後の日だったら幸せなのかもしれないなと思います。
もちろん苦い思い出もありましたが、嬉しかったことや楽しかったこともお仕事をしている中では多くありました。
私が今までしてきたお仕事は全て接客業でした。
人に尽されるより尽くす方が好きな私には合っていたみたいで、何をしたら相手が喜んでくれるのかを考えることが楽しかったです。
例えば…
カフェで働いていた時は同じビル内で働く会社員のお客様が多く、ほとんどの人が毎日決まった物を注文する方ばかりでした。
常連のお客様の顔と味の好み、毎日頼む物を覚えて少し会話を挟んでみたり、その人の好きそうな物が新しく出たら勧めてみたり。
特にブラックコーヒーは豆の種類によって味も全く別物になるので、かなり勉強しました。
毎日のように働いていたのでお客様側も顔を覚えてくださって、私がいない日に他のスタッフに
「今日はあの子お休みなの?私あの子好きなのよね」
なんて話していたお客様もいたみたいです。
百貨店で化粧品の販売員をしていた時は、お客様から聞かれる質問やご相談に答えられるように化粧品検定の参考書を読んで勉強していました。
話してみると私と同じようなことで悩んでいる方が年齢問わずいて、実際に自分が使って効果のあった物を勧めてみたりすると喜んでくれる人が多くて。
「あなたに聞いて良かった〜!」
なんてニコニコしてくれる人がいた日は、1日ほっこりした気持ちのままいれるくらい嬉しかったです。
他にもお仕事は色々としてきましたが、思い返せばお客様にはかなり恵まれていたなと思います。
中には気難しい人やクレーマー気質な人もいましたが、それ以上に優しくて良い人の方が多かったです。
お仕事自体に対する未練はあまりないですが、
「あの人はまだあのお店に来ているのかな?」
なんて、お客様のことは未練がましく思い出してしまいます。
人の事を信用出来ないし、嫌いだと思う反面でそういった出来事に心救われてきた事も事実です。
大嫌いだけど、大好きです。
叶うなら、
人生最後の日はそんな思い出を胸いっぱいに抱えながら幸せな気持ちで死にたいですね。